私は毎日進んでいるのか

時間は理不尽に私を拐いあっという間に昨日の自分は死んで今日の自分に入れ替わる。実感はなくてもカレンダーや毎朝嫌な顔でカーテンの隙間を覗いてくる彼が教えてくれる。何も変わってないようで毎日、毎秒私たちは変化を繰り返して数年後には大きな変化になっていく。それでも私と彼や夜しか顔を覗かせない彼女との距離はずっと変わらない。いや、変わっているのかもしれないけれど、私が生まれて死ぬまでの間にはきっと大きな目に見える変化はないだろう。明日にさらわれる今日の自分はあっという間に昨日の自分に。夢を見ていた明日の自分はなんの変哲もない今日の自分に。私たちは進んでいるようで進んでない。けど、進んでないようで実は進んでいる。こんなにも理不尽な世界で生きている命はきっと何よりも尊いはずだ。糸色体。糸色命。死んでいった命のありかをこの目で見る事はできないがそれを愛すことはできる。無駄な命なんかひとつもない。私が嫌いなあいつらだって地球上で同じ空の下で同じ空気を吸っているんだから。無駄じゃない。きっと全部。